その上をかすめて時々何かしら小さな羽虫が銀色の光を放って流星のように飛んで行く。 それよりも美しいのは、夏の夜がふけて家内も寝静まったころ、読み疲れた書物をたたんで縁側へ出ると、机の上につるした電燈の光は明け放された雨戸のすきまを越えて芝生一面に注がれている。まっ暗...