田中君は、いつも教室の隅に黙って座り、人の話を静かに聞いているような男の子だった。クラスで「お世話になった寮母のお姉さんに、それぞれ手紙を書こう」と決まった時、田中君は定規で引いたような真っすぐできちょうめんな線で電車の絵を精密に描き、「僕はきかんしになるつも