昭和十一年二月二十六日、降りしきる雪を蹴って決行された青年将校たちのクーデターの結果は全員処刑により終った。本書は、多くの資料によって事件の経過を再現し、彼らが意図した「昭和維新」「尊王攘夷」の意味を探り、軍隊のもつ統帥権意識を解釈の軸として、昭和初期からの農村の疲弊に喘ぐ社会と...
昭和十一年二月二十六日、降りしきる雪を蹴って決行された青年将校たちのクーデターの結果は全員処刑により終った。本書は、多くの資料によって事件の経過を再現し、彼らが意図した「昭和維新」「尊王攘夷」の意味を探り、軍隊のもつ統帥権意識を解釈の軸として、昭和初期からの農村の疲弊に喘ぐ社会と...
軍人その本務を逸脱して余事に奔走すること、既に好ましくないが、更に憂うべきことは、軍人が政治を左右する結果は、若し一度戦争の危機に立つ時、国民の中には、戦争が果たして必至の運命によるか、或は何らかの為にする結果かと云う疑惑を生ずるであろう。国家の運命が危険に迫れる時に於て、...