「君考えても分るじゃないか、あれだけの財産があってあれだけの器量なら、どこへだって相応の家(うち)へ遣れるだろうじゃないか。寒月君だってえらいかも知れんが身分からいや――いや身分といっちゃ失礼かも知れない。――財産という点からいや、まあ、だれが見たって釣り合わんのだから...