第二、太宰の女性独白体作品において、『灯籠』という前期最後の一作を除 けば、ほかの十五作は全部中期と後期の作品である。平野謙の「それぞれ(前 期、中期、後期)左翼崩壊の時代、戦争の時代、戦後惑乱の時代に対応してい る」1 という分け方によれば、中期は戦中にあたり、後期は戦後と対応して...